入国年、帰国年の注意点

  • 入国年の申告における注意点
    • F, J, M, Qビザでの入国の場合
      多くの場合で入国した年とその翌年は、Exempt Individual として扱われるため、米国税法上非居住者(Non Resident)となります。その際には、フォーム8843 (J-2, F-2などの家族分を含む)の提出義務が生じます。詳しくは、F, J, M, Q ビザの特別ルール を参照ください。

    • F, J, M, Qビザ以外での入国の場合
      入国した年に183日以上滞在し、Substantial Presence Test を満たしてしまった場合は、入国日より米国税法上居住者(Resident)として扱われます。Substantial Presence Test に関しては、居住者(Resident)と 非居住者(Non Resident)の決定方法 を参照ください。この場合、入国日より以前は米国税法上非居住者(Non Resident)扱いとなり、その年の申告は、Dual Status となります。年度末で米国税法上居住者(Resident)扱いですので、フォーム1040 の上部に“Dual Status Return” 、フォーム1040NR (またはフォーム1040NR-EZ)の上部に、“Dual Status Statement” と記載し、居住者、非居住者(Resident, Non Resident)の両方の申告フォームを使用するのが一般的です。
      ただし、年末において結婚していて、夫婦合算申告(Married Filing Jointly)を使う場合は、一定の条件を満たした場合、通年米国税法上居住者(Resident)扱いをうけることも可能です。 入国した年に183日以上滞在していない場合は、米国税法上非居住者(Non Resident)として、フォーム1040NR もしくは、フォーム1040NR-EZ での申告となります。
    なお、上記に関しては、Green Card Test を満たして米国税法上居住者(Resident)扱いになった方には適用されませんので、注意が必要です。

  •  出国年の申告における注意点 米国税法上非居住者(Non Resident)扱いを受けている間の帰国に関しては、帰国年も税法上 非居住者(Non Resident)で問題はないと思われます。しかし、いったん税法上居住者(Resident)扱いになった後で、年の途中で帰国する場合には、少し複雑になります。この場合、米国滞在の最後の日をもって、米国税法上Resident 扱いを終了する旨、別紙(Statement Required to Establish Residency Termination Date)にて宣言することによって、Dual Status としての申告を行います(当面米国居住者にならないことが前提)。その際、米国滞在最後の日以前を米国税法上 居住者(Resident)扱い、それ以降を米国税法上非居住者(Non Resident)扱いをする申告となります。この場合、年度末において米国税法上 非居住者(Non Resident)扱いですので、フォーム1040NR (またはフォーム1040NR-EZ)の上部に “Dual Status Return” 、フォーム1040の上部に、“Dual Status Statement” と記載し、居住者、非居住者(Resident, Non Resident)の両方の申告フォームを使用します。さらに、これらの申告書に、米国税法上 居住者(Resident)扱いの終了を宣言するStatement (Statement Required to Establish Residency Termination Date)を添付します。 なお、上記に関しては、Green Card Test を満たして米国税法上居住者(Resident)扱いになった方には適用されませんので、注意が必要です。 また場合によっては帰国する以前に、Sailing Permit /Departure Permit が必要な場合も考えられるため、これも注意が必要です。

  •  Dual Status について

Dual Status とは、確定申告の対象となる年において、米国税法上居住者(Resident)扱いの期間と非居住者(Non Resident)扱いの期間を分けて申告する方法です。

年度末にて米国税法上居住者(Resident)扱い
フォーム1040 の上部に“Dual Status Return” + フォーム1040NR (またはフォーム1040NR-EZ)の上部に、“Dual Status Statement” と記載する。主に入国年に適用されます。

年度末にて米国税法上非居住者(Non Resident)扱い
フォーム1040NR (またはフォーム1040NR-EZ)の上部に “Dual Status Return” 、フォーム1040 の上部に、“Dual Status Statement” と記載する。主に出国年に適用されます。

※ Dual Status となると以下の制限が出てきます。

・定額控除(Standard Deduction)が使えなくなります 。(Standard Deduction に関しては、控除について (控除群2: Itemized /Standard Deduction) を参照ください)

・Head of Household のFiling Status が使えなくなります。(Head of Household に関しては、Filing Statusについて を参照ください)

・結婚していてもMarried Filing Jointly が使えなくなります。(Married Filing Jointly に関しては、Filing Statusについて を参照ください)

・Education Credit, EIC (Earned Income Credit)などが使えなくなります。(Credit に関しては、控除について (控除群3: Credit) を参照ください)

要するに、税法上居住者(Resident)として扱われる有利な面を放棄する必要があるということです。

Dual Status の詳細なルールはやや複雑ですので、詳細に関しては、IRS Publication519 U.S. Tax Guide for Aliens(PDFファイル) を参照ください。

一般に米国一時滞在者が米国を去るときには、Sailing Permit Departure Permit を出国前少なくとも 2週間前までに申請し受け取る必要があります。これを申請するためには、フォーム1040-Cもしくは、フォーム2063を提出する必要があります。また、過去におけるTax Return や税金の支払いなどを済ませておく必要があります。

・課税所得がある場合

課税所得がある場合は、フォーム1040-Cを提出します。税金の支払いがある場合は支払いを済ませます。Refund がある場合は、その年度のTax Return(1040NR、1040NR-EZ)を提出することでRefund の請求をします (暦年の場合は翌年まで待って4月15日までに提出する)。

・課税所得がない場合

課税所得がない場合は、フォーム1040-Cの代わりにフォーム2063をファイルします。フォーム2063が使える状況かどうかは、必ず ご自身で確認が必要です。

・Sailing Permit /Departure Permit を必要としない場合

一般に、F-1、F-2、H-3、H-4、J-1、J-2 またはQビザで滞在する Alien Student, Industrial Trainee, Exchange Visitor などに該当する場合 で、所得が銀行からの利子所得や、ビザで定められている雇用主からの所得などに限られている場合は、Sailing Permit やDeparture Permit を必要としません。また、その配偶者、子供に関しても、同様の条件を満たす場合は、Sailing Permit やDeparture Permit は不要となります。詳しくは、IRS Publication519 U.S. Tax Guide for Aliens (PDFファイル) を参照下さい。

  •  アメリカに銀行口座を残し帰国する場合

アメリカに銀行口座を残したまま帰国する場合、帰国後は米国税法上 非居住者(Non Resident)となるため、預金の利子所得が非課税になります。ただ、そのまま放っておくと自動的に源泉徴収されてしまい、毎年Tax Return を提出しRefund を請求する手続きが必要になってしまいます。このような場合は帰国前に、その金融機関に W-8BEN(Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding) (PDFファイル)を提出し、源泉徴収を避けるように手続きをしておく必要があります。