控除群1: Above the Line Deduction

これらは、調整後総所得(AGI: Adjusted Gross Income)の上で控除することから、Above the Line Deduction と呼ばれます。この項目に含まれる控除は、所得から引き算することで、あたかも所得がなかったかのように扱われます。

以下に代表的なものを説明します。

  •  IRA Deduction
    IRA (Traditional IRA) への年間の拠出額のうち、一般に最大6,000ドル(2020 年)までが控除として認められています(50才以上70 1/2歳未満の場合は最大7,000ドル(2020 年))。ただし、企業などの退職年金プランなどに加入している場合、AGI(Adjusted Gross Income)が一定額以上になると段階的に減少(Phase Out)の対象となります。また、年金プラン (401k、IRA、Roth IRA) について も参照下さい。

  •  Student Loan Interest Deduction
    高等教育、専門学校などの授業料、寮費、食費、その他関連費用に教育ローンが充てられている場合、支払利息分が控除の対象となります。この場合、少なくともハーフタイムで就学している期間のものである必要があります。

  •  Tuition and Fees Deduction (税法上Resident のみ)
    自分自身、配偶者、扶養家族のために使った高等教育、専門学校などの授業料が最大4,000 ドル(2020 年)まで控除が可能です。ただし、調整後総所得に若干の調整を加えたもの(MAGI)がSingle:65,000ドル超、Joint:130,000ドル超になると 、この控除は2,000 ドルまでに制限されます。さらにMAGI が Single:80,000ドル超、Joint:160,000ドル超になるとこの控除は使えなくなります。また、ファイリングステータスがMarried Filling Separately(夫婦個別申告)の場合は、この控除は使えません。ファイリングステータスについての詳細は、Filing Status について を参照ください。教育費の控除に関しては、Hope CreditやLifetime Learning Creditとの兼ね合いを考えて、どの控除を使うべきか検討する必要があります。また、これらの控除のために教育機関などから、フォーム1098Tがその証明として発行されます。

(参考)
Hope Scholarship Credit 
は、大学や職業訓練学校などの最初の2年間(the first 2 post-secondary education years)の授業料に適用され、Creditとして税額から直接控除が可能です。生徒一人当たり最大1,800ドルまで(最初の1,200ドルまで100%、次の1,200ドルまで 50%)控除が可能になります。 ただし、少なくとも1学期間、ハーフタイムで就学している必要があります。調整後総所得(AGI)によって段階的に控除額が減額されます。 なお大学院は対象にはなりません。

上記 Hope Credit の適用範囲が拡大された American Oppotunity Tax Credit として、生徒一人当たり最大2,500ドルまで(最初の2,000ドルまで100%、次の2,000ドルまで25%)控除が可能になります。

Life Time Learning Credit は、Hope Credit に比べて条件が緩くなりますが、最大2,000ドル(最初の10,000ドルのうち20%分)がCreditとして税額から直接控除できます。これも調整後総所得(AGI)によって段階的に控除額が減額されます。

これらについて詳しくは、教育費をうまく使う を参照ください。

  •  Moving Expenses 2018年よりMilitary 関連の方以外の適用はなくなりました。
    Moving Expenses (引越し費用)を控除するためには、まず仕事に関連している必要があり、以下の2つのテストを満たす必要があります。 ただし、米国外への引越しの場合、控除を利用するためには、米国税法上居住者(Resident)に該当する必要があります。

1.Distance Test

引越しをする前の家と比べて、引越しをしなかった場合、職場が50マイル以上遠くなること。

2.Time Test

新しい職場へ勤務後、1年間で39週以上フルタイムで働くこと。
(自営業者の場合は2年間で78週以上)

実際にMoving Expense として控除が認められる費用は以下のものがあります。

・家具などの移動費用(保険なども含む)
・移動のための旅費(宿泊費を含む) など。

控除が認められないものには以下のものがあります。

・移動中の食費(引越ししなくとも食事はするから)
・新居を見つけるための旅費や仮住まい費用 など。