教育費をうまく使う

このページでは教育費の控除を中心に説明します。一般に米国税法上居住者(Resident)扱いを受けると、年度中に支払った授業料などをいろいろな方法で控除が可能です。これを使うことによって、税法上居住者(Resident)として扱われる 場合、米国への一時滞在者の家族などが大学などで学ぶ機会を、大きく広げる可能性があります。決して小さくない教育費の控除を知っておくことは無駄ではないと思います。

  •  授業料などの控除(米国税法上居住者(Resident)のみ)

Tuition and Fees Deduction

自分自身、配偶者、扶養家族のために使った高等教育、専門学校などの授業料が最大4,000 ドル(2020年)まで控除が可能です。ただし、調整後総所得(AGI)がSingle:65,000ドル超、Joint:130,000ドル超になると 、この控除は2,000 ドルまでに制限されます。さらに調整後総所得(AGI)が Single:80,000ドル超、Joint:160,000ドル超になるとこの控除は使えなくなります。また、ファイリングステータスがMarried Filling Separately(夫婦個別申告)の場合は、この控除は使えません。ファイリングステータスについての詳細は、Filing Status について を参照ください。教育費の控除に関しては、Hope CreditやLifetime Learning Creditとの兼ね合いを考えて、どの控除を使うべきか検討する必要があります。また、これらの控除のために教育機関などから、フォーム1098Tがその証明として発行されます。

Hope Scholarship Credit (現在、American Opportunity Tax Credit)

Hope Credit は、大学や職業訓練学校などの最初の2年間(the first 2 post-secondary education years)の授業料及び関連費用に適用され、Credit として税額から直接控除できるため、大きな節税になる控除方法です。生徒一人当たり最大1,800 ドルまで(最初の1,200ドルまで100%、次の1,200ドルまで50%)控除が可能になります。 ただし、少なくとも1学期間、ハーフタイムで就学している必要があります。調整後総所得(AGI)によって段階的に控除額が減額されます。 なお大学院は対象にはなりません。

American Opportunity Tax Credit

2009年以降においては、上記 Hope Credit の適用範囲が拡大され、生徒一人当たり最大2,500ドルまで(最初の2,000ドルまで100%、次の2,000ドルまで25%)控除が可能になります。また、Hope Credit が大学や 職業訓練学校などの最初の2年間(the first 2 post-secondary education years)であるのに対し、American Opportunity Tax Credit では、最初の4年間(the first 4 post-secondary education years)の授業料及び関連費用に適用されます。

Life Time Learning Credit

Life Time Learning Credit は、Hope Credit に比べて条件が緩くなりますが、最大2,000ドル(最初の10,000ドルのうち20%分)がCredit として税額から直接控除できます。これも調整後総所得(AGI)によって段階的に控除額が減額されます。 例えば、支払った適格授業料の総額が10,000ドルを超える場合などは、Life Time Learning Credit を使うのが最も有利になる場合が多くなります。

これらの授業料に関する控除には詳細なルールがありますので、実際にお使いになる場合は各Instruction を参照ください。

  • 仕事関連の継続教育費用(Job Education)

2018年からこちらの適用はなくなりました。
 職業上、その職務を維持するために必要な教育費用は、Itemized Deduction にて、AGI (Adjusted Gross Income)の2%を超える額が控除の対象となります。税法上Resident でStandard Deduction を使う場合は、当然この控除は使えなくなります。詳しくは、控除について(控除群2:Itemized /Standard Deduction)を参照ください。一般に、研究者などが学会に参加する費用などがこれに該当します。新しい職業への可能性を広げるもの、例えば、会計士がLaw School に通うなどは控除の対象にはなりません。また、その職業に雇用される上で最低限要求されている教育費用なども、この控除の対象ではありません。これ以外にも詳細なルールがありますので、実際にお使いの際は各Instruction などを参照ください。

  •  Student Loan Interest Deduction

    高等教育、専門学校などの授業料、寮費、食費、その他関連費用に教育ローンが充てられている場合、支払利息分が控除の対象となります。この場合、少なくともハーフタイムで就学している期間のものである必要があります。 この控除は、AGI (Adjusted Gross Income)の上での控除になるため、実際の節税額はこの控除に税額を掛け算するため、その分小さくなります。AGI (Adjusted Gross Income)の上での控除については、控除について(控除群1:Above the Line Deduction) を参照ください。