米国税法上のNon Resident とResident の決定方法

  •  税法上のステータスの種類

    米国における税法上の ステータスは大まかに以下の5つが考えられます。

    • U.S. Citizen

    • Resident Alien

    • Non Resident Alien

    • Dual Status

    • Dual Resident

上記のうち、米国市民(U.S. Citizen)と米国居住者(Resident Alien)は、米国税法上ほぼ同等に扱われます。また、Dual Resident とDual Status に関しては、少し特殊な状況ですのでこのページの最後に記します。現時点では、居住者(Resident)と非居住者(Non Resident)の中間のようなステータスとお考えください。一番理解する必要があるのが、 居住者(Resident)と非居住者(Non Resident)の区分方法です。 なぜ理解が必要かというと、申告に使うForm と税金の計算方法が全く異なってしまうからです。ここを間違えると、苦労して書き上げた申告書が根本的に間違っているということになります。また、これらの税法上のステータスは、特定の場合を除いて自動的に決まってしまうもので、自身で選べるというものではないので注意が必要です。

  •  Green Card Test とSubstantial Presence Test

米国税法上のステータスは、一般に以下の2つのテストによって決定されます。

Green Card Test
→ Green Card を持っているかどうか?

Substantial Presence Test

→ *申告の年において、滞在日数が31日以上、かつ
  *申告の年における滞在日数
  +その前の年における滞在日数×1/3 

*申告の年・・・対象とするTax Return の年をさします。2016年のTax Return の場合は2016年。


上記2つのテストのうち、どちらかを満たすと税法上 居住者(Resident)として扱われます。ここで終われば話は簡単ですが、F, J, M, Q ビザのTeacher, Trainee 及びStudent には例外があります。詳しくは、
F, J, M, Q ビザの特別ルール を参照ください。

(計算例) 2014年、2015年、2016年と毎年122日ずつ滞在したとします。Substantial Presence Test を適用すると以下のようになります。

122 + 122×1/3 + 122×1/6 = 183

従って、この例では2016年度の税法上のステータスは、居住者(Resident)となります。毎年の滞在日数を 121日以内に抑えれば、Substantial Presence Test の適用において、税法上 居住者(Resident)とはなり得ないということを示しています。

  •  Closer Connection Exception

Substantial Presence Test によって米国税法上居住者(Resident)扱いがされてしまっても、以下のことを示すことができれば、例外的に 非居住者(Non Resident)として扱われることができます。

・申告の年において、滞在日数が183日未満であること

・Tax Home が米国外にあること

・米国との関連以上に、Tax Home のある国に関連があること

この例外措置を受けるためには、フォーム8840(PDF)を提出する必要があります。

(補足) 出張のため米国滞在が多いビジネスマンは、申告の年に183日以上の滞在をしない限り、日本の企業からの所得は、日米租税条約を使うことで、米国税法上課税されないことになります。
ただし、新日米租税条約(第14条)では、183日の数え方が上記とは異なり、申告の年に開始または終了するいずれの12ヶ月間における滞在日数が 183日を超えないこと、と条件が若干厳しくなりました。これは、年をまたいで滞在することによる183日以上の滞在が、事実上183日以上の滞在として 扱われることを意味します。

  •  税法上Non Resident とResident の決定方法

 

  •  居住者(Resident)扱いの始まる日

米国に183日を超えて滞在した場合、いつの日から税法上居住者(Resident)として扱われるのか理解する必要があります。

例えば、ある人が2016年1月1日から滞在したとして、7月1日で滞在183日を超え、Substantial Presence Testによって、税法上Resident となるとします。この場合、7月1日から税法上居住者(Resident)扱いになるのではなく、滞在はじめに遡って1月1日から米国居住者扱いとなります。

さらに、ある人がGreen Card を取得し、Green Card テストによって、税法上Resident 扱いになる場合でも、いつの日をもって税法上のResident 扱いが始まるかが問題になります。

従って、これらをルールを以下に記します。

  •  Dual Status について

Dual Status は、一般に米国へ入国した年や米国を去る年に適用されます。例えば、F, J, M, Q ビザ以外で入国した場合は、いきなりSubstantial Presence Test の適用を受けてしまい、183日を越えて滞在した場合は入国年から税法上居住者(Resident)として扱われます。この場合は、全世界の所得が申告対象になってしまいます。それを緩和する意味で、一年のうち 非居住者(Non Resident)として扱われる期間と居住者(Resident)として扱われる期間と分けて申告する形をとることになります。Dual Status となると以下の制限が出てきます。

・定額控除(Standard Deduction)が使えなくなります 。(Standard Deduction に関しては、控除について (控除群2: Itemized /Standard Deduction) を参照ください)

・Head of Household のFiling Status が使えなくなります。(Head of Household に関しては、Filing Statusについて を参照ください)

・結婚していてもMarried Filing Jointly が使えなくなります。(Married Filing Jointly に関しては、Filing Statusについて を参照ください)

・Education Credit, EIC (Earned Income Credit)などが使えなくなります。(Credit に関しては、控除について (控除群3: Credit) を参照ください)

要するに、税法上居住者(Resident)として扱われる有利な面を放棄する必要があるということです。入国年、出国年の注意点 も併せて参照ください。

(例) 前年度の申告で米国税法上居住者(Resident)扱いされていた人が、次の年の途中で日本へ帰国したとします。この場合、帰国年も居住者(Resident)扱いとなってしまいます。税法上 居住者(Resident)として扱われた場合、全世界所得が申告対象となり、日本に帰国してからの所得についても申告義務が生じます。この場合には、米国滞在中は 居住者(Resident)として、帰国後は非居住者(Non Resident)として 税金の計算をすることになります(当面米国居住者にならないことが前提)。この場合、1040NRと1040の両方のフォームを使うことになります。

Dual Status のルールはやや複雑ですので、詳細に関しては、IRS Publication519 U.S. Tax Guide for Aliens (PDFファイル) を参照ください。

  •  Dual Resident について

Dual Status とDual Resident は別の意味で使われます。米国以外の国(例えば日本)の税法上居住者(Resident)であり、かつ米国で居住者(Resident)扱いになった場合などがこれに該当します。つまり、両国において 居住者(Resident)となった場合です。この場合、日米租税条約によって日本の居住者と判定される場合、Form8833を使ってそれを開示し、米国において非居住者(Non Resident)として申告することが可能です。